SSBの音は何故悪い
−−−−SSB高音質化への取り組み
JJ1GRK
1)フィルター群遅延の問題
これについては94年のハムフェアで展示をしました。比較的音の良いJST−135を更に改良したものを用意して、内蔵純正フィルターと低群遅延フィルターを切り替えて音質差を体感してもらったのです。
一部には「群遅延以前にやる事が山ほどある」というOMさんもいらっしゃるようですが、実際に音質差に直面すれば、たぶんこの意見は変わると思います。
アマチュア的にはラダーフィルターの利用をお勧めします。USB型ラダーフィルターは同じ周波数の水晶発振子だけで構成でき作りやすいのでFBですが、良く雑誌記事に書かれている「フィルター水晶とキャリア水晶は同じものでよい」はウソです。
2)BMの歪の問題
あまり文献がありませんが、間違いなくこの問題は存在します。アマチュア的にはC/Nの良いキャリアを強めにして注入するのが簡単なようです。
3)送信IMDの問題
IMDは注目されています。FT−1000MARKXの様に、A級アンプに切り替えてIMDを改善できるようにしたリグまであります。
プロ機の規定は−37dB(JAIAの測定法で修正した数字)ですから、アマチュア用高級機はこの水準に達しています。しかし、普及品ではダメなようです。
さて、クリッパタイプのコンプレッサーを使用すると歪感が出ます。
フィルターが入るのでIMDと違い隣接チャンネルへの妨害は発生しませんが、「高音質」という意味では明らかに問題があります。
また、ALCを動作させるとIMDは悪化します。これ自体は分かりきった話ですが、ほとんどのリグでは出力を絞る時にALCを利用している事は結構忘れられているようです。リグの出力を絞ると送信PA回路の歪は軽減されますが、そのための出力低減回路が新たな歪の原因となる場合があることには注意してください。この現象、PSK31では致命的です。
4)リグの低周波特性の問題
この問題は非常に重要です。歪ではなくこもった音になるのが普通なので、他の問題とはちょっと違うのですが、純正スピーカー以外で聴くとどうしようもない音しかしないというリグがあるのも事実です。内蔵スピーカーでもダメ、市販のヘッドフォンでもダメとなると、ちょっと考えてしまいます。技術と言うよりも設計者のセンスの問題です。
5)SSBが単側波帯であることの問題
2000年のハムフェアでは、この点を指摘しました。
詳しくは次項へどうぞ。更に解析は進化しました。