3)等価等方輻射電力1Wって、どのくらい?
まあ、簡単にいえば
★利得0dBiのアンテナに1Wを入力したときと同じ電界強度ということです。
★言いかえれば、
アンテナ利得が-10dBなら10Wまでの送信装置が使えるし
利得が-23dBと低ければ、200Wで送信することができます。
★ビームアンテナなどを使用する場合は、もっとも輻射の強い方向が基準となります
ですから、等価等方輻射電力1Wという制約が付いた場合、送信アンテナとしては
ビームアンテナはお勧めできません。(受信用は別です。ノイズが避けられるから)
★もしも、皆がこの上限までの強さの信号を発射しているとすると
出力の高い局ほどアンテナはpoorという事になります。
皆がこの上限まで・・・・・・なんてことは無いんですけどね。
どのくらい届くの?
★総務省の告示によると、東京都心部でのAMラジオは10mV/mの電界を必要とするとされています。
ただしこのデータはかなり古く、現状ではもっと多くの電界強度が必要で、これから逆算すると
都市部の雑音は、6kHz帯域で、だいたい1〜2mV/mぐらいに相当します。
★1mV/mとして、これを500Hz帯域になおすと、約50μV/mとなります。
ノイズの激しいところでは、AGCで全体が揺らされてしまい、
CWでは3dB程度のC/Nが必要になりますから70μV/mの電界強度が必要となります
★等価等方輻射電力1wは、1kmで5.4mV/mの電界強度となります。
また、8kmで、68μV/mの電界強度となります。
まあ、簡単に言ってしまえば、この8kmというのが、都市部、かつ普通のCWでの到達限界となります。
★ノイズが少なければ到達距離は延びます。山間部ならノイズはこの1/10(電圧)ぐらいになりますから、
到達距離はそのまま10倍になります。80kmです。
★これ以上の到達距離を狙うのであれば、帯域を更に絞る事が必要です。
PSK31のようなやり方で、等価雑音帯域を50Hzにした場合は単純に10倍で800km・・・・にはなりませんが、
海上伝搬で500kmぐらいまでは到達するでしょう。
さすがにこのぐらいの距離になると、地球が球である事に起因する大地の曲がりが影響してきます。
長波&海上伝搬という好条件が並んでも、単純に距離に反比例というわけにはいかなくなります。
他のページでも使っている図ですが、再掲しておきます。
電気通信学会、電気通信ハンドブックからの引用です。
再引用によるトラブル防止のために、データは必要最小限としてあります。御容赦を。
★QRSSで、どんどん符号速度を遅くする方法ももちろんあります。
こうすると帯域をどんどん狭めることが可能になります。
ただ、この、QRSS、言葉ばかりが先に立ってしまっているようです。(失礼があったらご容赦を)
現実には1Hzぐらいまででしょう。
というのは、機器の同調精度がこのぐらいだからです。
また、もうひとつ、送信信号そのもののC/Nの問題もあります。
特に、プログラミング型の分周器を用いた場合、C/Nにはどうしても限界が生じます。
★帯域を狭める技術については、1980年ごろに流行った、コヒーレントCWで、大体
必要な実験がなされています。
ハムジャーナルの古い本をご覧ください。
ただ、当時と違ってゼロクロスキーイングが簡単にできるのは助かります。
★また、135kHz付近では、到達距離が2000kmを超えると、途端に減衰が増えます。
帯域50Hzで500kmとして、5Hzにしても5000km到達する事は通常ありえません。
受信側の設備について
★ずっと送信側と、電波伝搬上のS/N(信号強度と雑音強度の差)だけで話してきました。
これは、受信設備よりもずっとこちらのほうが重要だからです。
受信装置については、雑音が充分受かっていれば、それで充分な感度があるといえます。
外来雑音で常にSメーターが振れているのは、ある意味カラSのようなものですから。
★アンテナについては、できるだけノイズを避けられると良いのですが、難しいです。
もう少し上の周波数だと、雑音は電界から、信号は電磁界ということで、磁界受信が
有効なのですが、長波帯では普通に磁界ノイズが出ているようで、困ったものです。
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