昔々、あるところにおじいさんとおばあさんがいました。おじいさんは山へ
JCGサービスに、おばあさんは川縁へアンテナのテストに出かけました。
すると、川の上流から大きな無線機がどんぶらこ、どんぶらこと流れて来ました。
おじいさんとおばあさんには、もう、養子に出ていて名字も変わっている3人の
息子が居ました。貧乏故、養子に出すときに何も持たせてあげられなかった
おじいさんとおばあさんは、息子たちを呼び寄せてこの無線機を一台ずつ授けることに
しました。3人の息子は無線機をもらって大喜び、さっそく、これを更に改良して
立派な通信機を作り上げ、鬼ヶ島に攻め込みました。
安くて小型の無線機で武装した息子たちに、性能の劣る大型機を振り回す鬼達が
敵うわけがありません。鬼達は皆、この息子たちによって退治されてしまい、
息子達はそれから幸せにくらしましたとさ。
息子達の名前も、流れ着いた無線機の名前も、昔のこと故もう残っていません。
でも、残った無線機にはそれぞれのイニシャル、FTとかTSとかICとかが
つけられていましたから、きっとこんな名前だったのでしょう。
え?なんで無線機で武装して鬼に勝てたのかって?。おじいさんも村の人にこれを
最初に訊かれたようですが、おじいさんは、「始めに流れてきたのはKWM・・・・」と
だけ言って、あとは黙ってしまったそうです。
もしかしたらこの無線機、鬼ヶ島から流れてきたものかもしれません。
正伝 TS・・・・・トリオステーションの略
TR・・・・・トランスミッター・レシーバーの略
外伝
当時、トリオは実にシンプルな型番を好みました。TXやTは送信機、JRやRは
受信機(JR=受信&ラジオ)、DMはディップメーターといった具合です。
とすると、これも簡単。TS=トリオのSSB機。TR=トランシーバー でしょう。
TR-1300やTR-9000シリーズではSSB機にTRナンバーが付いていますが、
これはずっと後の話で、TSナンバーの上位機種との差別化を考えていたとも思われます。
正伝 FT・・・・・@フューチャーテクノロジーの略
A FL−20(フィルター方式の20W送信機)から
派生した、FT(フィルターのトランシーバー)
外伝
八重洲無線はSSB機からアマチュア無線機に参入しました。SSB機の特徴って
覚えていますか?。忘れた人は初級のアマチュア無線の教科書を開きましょう。
法令集と同じぐらい大切な無線局の備え付け書類ですよ(嘘)。
回路が複雑?、違います。部品点数はAMもSSBもたいして変わりません。
大電力変調器が無い分だけSSBの方が小型化しやすいぐらいで、
TX−88と9R59のセットよりも、初代FT−50の方が部品点数は少ないのです。
では、AMとSSBの一番の違いは何かと言うと、それは調整の難易度です。
VFOを安定させて、BFOの周波数を追い込んで、最適の動作点にバイアスを
合わせてっと、みんな調整です。
さて、調整の事をなんて言うかご存じでしょうか?電機会社ではこれをフィッティング、
略してFTと呼んでいます。調整マンも調整ウーマンも皆、”FTさん”なんです。
としたらもうわかりますね。
八重洲無線が参入したときのSSB機の一番の特徴、それはFTなのです。
だから今でも型番はFT−です。
正伝・・・・・当時商標として使い始めたIcom(イコム)を型番にした
外伝
もともと、Inoue-Electric-worksという名称を使っていた頃は、FDAM-、FDFM-という
型番を使っていて好評だったのですが、FDAM-3の頃からライバルのTR-1100シリーズに
押され気味となりました。
そして、一番の得意分野である50MHz帯のハンディ機を語呂合わせで
AM-3D(AMの日曜日)とネーミングしたところ、見事にTR-1200に
負けてしまいました。 せっかくFDを取ったのに!
そこで、相手がTRならこちらはICだ!と言う訳で、IC-71からはICを使っている
ことをPRすることにし、以後ICで始まる型番を使うようになりました。