可変抵抗(ボリューム)の事を英語で何と呼びますか?


実はエレクトロニクスの分野にはたくさんの和製英語があり、ボリュームもその一つです。
ボリュームの仕事の一つに音量調節がありますが、これは英語でボリュームコントロールであり、
つまみのところにはそれを略したボリューム(Volume)が書かれていたことから、
可変抵抗器をボリュームと呼ぶようになりました。
本当の名前はvariable resistor(バリアブルレジスタ)です。

ただ、、実際にはpotentiometer(ポテンショメータ)と呼ばれる事が多く、、potと略されます。
こちらは「ボリューム」と同じように機能から来た名前で、中点に任意の電圧を設定できる事が名前の由来になっています。
ですから、potと呼ばれるのは3端子のボリュームだけ。
2端子のボリュームは電圧を分圧できませんから、rheostat(レオスタット)と呼ばれています。

ちょっとややこしいのですが、日本語でポテンショメータという場合は、
多回転型の精密なボリュームだけを指すのが普通です。
気取って「ポテンショメータください」と部品店で言うと、高い部品しか出てきません。

ボリュームは本来の名前、variable resistor(バリアブルレジスタ)と呼ばれる場合もありますが、が、
端子間電圧で抵抗値が変化するバリスタ(varistor)という半導体部品も
同じ言葉を語源としているので、略すわけにもいきません。これが一番ややこしい!。
これを見るとわかるようにpot variable resistorと言うと
3端子のボリュームを指します。ちなみに、、trimmer trim もしくはtrimmingで半固定です。
ボリュームはVRという略号を使いますが、これもバリアブルレジスタを語源とした
略称です。

バリコンは英語で通じるでしょうか?


さて、コンデンサの世界も考えてみましょう。

バリアブルコンデンサ=バリコンを考察する前に
コンデンサ・・・実は今となってはこれ自体が和製英語です。
condenserという単語まであるのですが、これの本当の意味は「圧縮するもの」「凝縮装置」
コンデンス・ミルク(濃縮牛乳)の方が正しい用法というわけです。
一応、辞書には蓄電器という訳が載っていますけど、今はまずこの意味では使われません。
理由は簡単、本来の意味である「圧縮機」としての使われ方の方が多いからです。

capacitor(キャパシタ)が普通に使われています。
でも、古い辞書を見たら、capasitor=condenser2(コンデンサの2番目の意味)とだけ
書かれていましたから、昔はあまり一般的ではなかったのかも。
我が家の古文書?でも、condenserという表現を見つけました。
「コンデンサを英語でコンデンサというのは間違い」ではなく、
「コンデンサは英語でも昔はコンデンサと呼ばれていた」という事のようです。

ちなみに、可変コンデンサは、variable capacitorですが、
variable condenserでもなぜか充分通じます
。googleで八百万件対五百万件、あまり変わりません
バリコン(vari con)はだめです。残念ながら。

可変コイルは?


最後にコイル、これは一番わかりやすい話になります。

コイルは最初からの和製英語です。つまり、可変コイルは全部日本語。
英語でコイルはinductor(インダクタ)もしくは reactor(リアクタ)と呼ばれます
そしてcoil(コイル)というのは配線の一形態で、とぐろ巻き、ぐるぐる巻くという形を指します。
たとえば、air-core coilは空芯コイル、Spiderweb coilsはスパイダコイル となります。

(可変コイルの良い写真が無いので、固定コイルでも眺めてください)

可変コイルはvariable inductor(バリアブルインダクタ)で、ここには議論の余地はありません。
実は、プレート電圧が1万Vを超えるハイパワー送信機の世界では、
共振回路は固定コンデンサ+バリアブルインダクタ で構成するのが普通です。
タップでインダクタンスを変えて、内部の真鍮板で微調整をしたりします。

なお、強電で良く言われるリアクトルはreactor(リアクタ)と同じ意味で、
変化に反応(反動)するものという意味になります。
ただ、reactorには原子炉という意味もあるので、ちょっと使いにくい単語ではあります。



                                      c 2011 JJ1GRK
  入り口に戻る