なお、2000年のハムフェアで展示に使用したスポットSSB送信機は、同じ周波数のクリスタルが3つあれば製作可能という超シンプルタイプです。すべてのクリスタルをVXO的に利用することで、フィルターは2素子で、搬送波抑圧比-40dB、不要側波帯抑圧比-40dBを得ています。そのうちにこれを利用した小型トランシーバーを作るかもしれません。
これがトップページに書いた回路不詳のトランシーバーです。
QRPではありません。PAを後ろに積んでいて、21MHzで15W出ます。
回路不詳というと不思議に思うかもしれませんが、いろいろな回路を試していて、
どの回路を採用してどう手直ししたのかが全く記録に残っていないのです
ALC無し、AGCも変則的、そして、送信は法規ギリギリで高音まで送る広帯域送信、
という、思いつきで作った自主設計回路が満載のちょっとひねくれたリグだったりします。
こんなリグですが、先日、送信PA回路にトラブルがあったことを思い出して手直しをしてみました。
その欠陥とは、長時間送信すると熱暴走を起こすというものです。
ただ、普通の熱暴走と違っていて、夏場に長時間送信をしなければ問題ないこと
運用中にメーターを見ていればわかること、原因が不明だったことで放置されていたのでした。
ちなみに....
普通の熱暴走:ある程度までは平穏で、限界を超えると急に温度が上がる。すぐに電源を切らないと素子は昇天!
これの熱暴走:だんだんアイドリングが増えてきて、最後に電流が急増する。その手前で送信をやめれば大丈夫。
というわけで、予告編付きだったわけです
これが問題の高周波出力回路のバイアス部分で、初期の回路の歪み特性を改良した物です
コレクタ損失は充分あるし、放熱器も大きめ。そして放熱器にトランジスタは直付けされているので
放熱系のトラブルは考えられず、どうしたものかと思っていたのですが.........
どうも元はこんな回路だったようです。(図面が残っていないので......推定です)
バイアスのインピーダンスが高くて歪みが出るので手直ししたのでしょう。
実際、手直し前のIMD=15dB、手直し後のIMD=30dBというメモが手元に残っています。
さて、元の回路をじっと眺めて半日後、やっと間違いに気が付きました。
二つ上のバイアス回路は
Tr温度上昇 → Dの温度上昇 → Trベース電位低下 → Trの電流減少 → Trのコレクタ電圧増加
というわけで、温度が上がるとバイアス電圧が上がるようになっていたのです
「熱暴走をしたいあなたのオーダーメード」みたいな動作をしていました
そこで修正したのがこの図の回路です。以後、正常動作。こういうミスは笑うしかないですねHi
教訓-----
「試作機には大きな放熱器。これで設計ミスでも壊れない」
笑ってやってください