実験回路で学ぶトランジスタとOPアンプ 自己バイアスについての追加説明
43ページの図2-2-12の設計方法についてです。
自己バイアスは滅多に使われないので、紹介すらしていない解説書もあります。
そんなわけで計算方法を明記しなかったのですが、
その原因はhfe(電流増幅率)がファクターに入ってくることにあります。
動作させる電流値でのhfeは気軽に測定することができません。
実はこの図の回路はhfeで選別しなくてもそこそこの動作になるよう最適設計をしたものです。
関係式はIc=((Vcc−Ic×R2)−0.6)×hfe/(R1) です。
正確にはベース電流を考慮する必要がありますが、省略しました。
バイアスをR2経由で取っている以外は、固定バイアスと同じ考え方です。
コレクタ電流を1mA、hfe=300として計算すると有能コレクタ振幅電圧は4.3Vとなります。
hfe=150の時は、コレクタ電流を0.75mAとなりますが、この時でも3.5Vの
実用上問題ないだけの有能出力をもちます。
また、hfe=500の時は約1.3mAで、約2.9V(トランジスタ側両端電圧)の
有能出力を持ちます。
hfe150〜500、最近の汎用トランジスタのばらつき範囲をカバーしている訳です。
ついでに44ページの宿題を説明します。
設計方法はR1の接続点以外、固定バイアスと同じとなります。
つまり、コレクタ電流1mAの場合、
コレクタ電圧を電源電圧の半分の1.25Vにするためには、
R2=1.2kΩ(正確には1.25kΩ)となります。
(1.25kΩの部品は存在しないため)
つまり、実際のコレクタ電圧は1.3Vです。
このとき、エミッタ電圧はゼロ(アースに落ちているから)ですが、
そうすると、ベース電圧はそれより0.6V高い0.6Vになります。
コレクタは1.3Vですから、R1の両端は0.7V
電流は10μAです。(コレクタ電流/hfe、題意よりhfe=100)
よって、抵抗値は70kΩとなり、部品としては近い値として68kΩとなります。
クリスタルイヤフォン/マイクが手に入らない。セラミックイヤフォン/マイクしか売っていない。
使用できるのだろうか?という問い合わせがありました。
どちらでも大丈夫です。大昔は水晶を使っていた為、圧電現象のある結晶を利用した物は
クリスタル・・・という名称で呼ばれています。
でも、最近は水晶を使っていないのでこの名称はおかしいという指摘があり、名前が変わりました。
本当は、第二次世界大戦の頃からすでに代替品(酒石酸カリウムナトリウム)に変わっています。
今はチタン酸バリウム(これがセラミック材料の一つ)が多いかな。
実験回路で学ぶトランジスタとOPアンプ 図面訂正
#1 P.45 図2-3-2(これのみ回路図です)
トランジスタはNPNタイプです。型名表記が合っています。
#2 P.46 図2-3-3(ブレッドボード図)
560kΩはベース、電池の−(0V)間です。
クリスタルマイク、イヤフォンのGNDは電池の−(0V)への接続であり、
トランジスタではありません。
#3 P.50 図2-3-9(ブレッドボード図)
ベース、アース間に10uFを入れて下さい。ベース側が+です。
クリスタルマイク、イヤフォンのGNDは電池の−(0V)へ接続してください。
#4 P.92 本文下から14行目(これのみ本文です)
正しい式は 増幅率(電圧)=1+帰還抵抗/アース抵抗 図3-1-8では 利得=1+R2/R1
と、なります。
#5 P.93 図3-1-9(ブレッドボード図)
入力のグランド(G)は、出力のグランド(G)と同じ場所になります。
同じ穴には刺せませんから、手前一番右(電池中点に接続される穴)に刺して下さい
#6 P.109 図3-2-14(ブレッドボード図)
6,7ピン間の33uは位置が違います。6,7ピン間ではなく、
ボード上の7−Iから3−Iへ刺してください。
(7ピン、GND間のバイパスコンデンサになります)
#7 P.160 図4-1-7(実体配線図)
FET3SK30Aの足は左からSGDです
他に、同じ穴に接続する指示も見つかりました。
すべてブレッドボード図なのでもちろんこれは無理です。
P.27 図2-1-5 同じ穴に3つ刺せなので、上下隣の穴に挿してください (アース線です)
P.44 図2-2-14 同じ穴に3つ刺せなので、上下隣の穴に挿してください (アース線です)
P.79 図2-5-14 同じ穴に2つ刺せないので、上下隣の穴に挿してください(アース線です)
P.100 図3-2-2 同じ穴に2つ刺せないので、上下別の穴に挿してください(入力線です)
本をご購入いただいた皆様にはご迷惑をお掛けしたことをお詫びいたします。
なお、回路図とブレッドボード図が合わないときは、回路図を御参照下さい。
回路図は直接私が打ち込んだ物をトランジスタのマークを変更しただけで掲載しています。
更なる不明点がありましたら、出版社編集部まで御連絡下さい。
JJ1GRK 高木
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