スピーカーコードで音が大きく変わるとは思えないけど

NGコイルとOKコイルの差がいまだにわからない

オーディオの世界では、恐ろしく高価なスピーカーコードが売られています。
1m1000円、2000円は序の口、ネット上には1m18000円なんてものまで・・・・。

スピーカーケーブルはエネルギーを運びますし、逆起電力を吸収する必要もあるので、
充分抵抗が低い必要はありますが、この観点で言えば、電源コード程度の太さが有れば充分な筈です。
まして結晶構造なんて・・・・。測定器に掛からない感性の世界ですから、答えは無いのでしょうけれど。

し、しかし、少し前にちょっと不思議な現象に出会いました。
銅線を巻いてVHFの無線用フィルタを製作していた時の事です。
種々の事情でとにかくロスを少なくしたくて、
通過帯域の最小ロス目標を0.1dB、最大ロス目標を0.3dBとして調整をしたのです。
100W入れて97.7W〜93.3Wが出てくる計算になります。

通常、Sメーターの1目盛りが3dBですから、その1/10、針の太さぐらいのロスと言えば、
どれだけシビアな調整をしていたかわかると思います。
パワーの安定した送信機を用意して、基準と比較するやり方でパワー計でロスを取っていました。

コイルを巻いて実装、減衰極を合わせて、通過域と阻止域のデータを取って性能確認 という手順だったのですが、
不思議な現象がありました。

それは、一度巻き直したコイルでは、最小ロスだけがほんの少し増える!という事です。
バンドエッジの最大ロス0.3dBはクリアできるのに、最小ロス0.1dBという条件をクリアできなくなるのです。

もう一度書きますね。「巻き直したコイル」のみで発生する現象です!

使用した線材は、大手(笑)電線小売店から購入した物。
巻き直すと言っても、ぐちゃぐちゃにした訳ではなく、巻き癖をきれいにつけるために
少しほぐしてまた巻き付けただけ、私には見分けがつきません。

減衰極は直列共振、その帯域を測っても同じ。抵抗値は当然同じなのでQも一緒。
(もしも巻き直し品の抵抗値が高いなら、逆にQは高くならないとおかしい)
新品の電線から作ったコイルを装着し直すと、今度はちゃんと予定の性能が出ます。

しつこく書きます。新しいコイルの代わりに、一旦解して巻き直したコイルを使うと、直列共振を使ったフィルタ回路で
-3dB帯域、そして-0.3dB帯域は同じで、最小ロスのポイントの減衰量だけが違うという現象が発生するのです。



これ、左が一発で巻いたもの。右がそれの巻き直し品です。ゆがみがある訳でもない。

この現象、 オーディオの世界で例えるなら、スピーカーコードを何回も曲げると特性が劣化するという事になってしまうという事で、
電線の結晶構造以前の問題になってしまいます。
でも、いままでこれを問題にした方は居ませんよね?。私も気にしたことはありません。
VHFの0.1dB〜0.3dBの変化がオーディオの世界に当てはまるとは考えにくいし・・・。

ところで、プロオーディオの世界ではスピーカーコード問題をどう処理しているかご存知でしょうか
パワードスピーカー(アンプ内蔵スピーカー)で、コードそのものが無いというのが最近の流れです。
イベント会場等で使う、スピーカー用の丈夫なコード、コンサート会場用の太いコードは存在しますが・・・・・。

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