無線機不況の原点は20W化だ!

 

無線機が売れないと言われ始めてそろそろ5年ぐらいになります。
運用局数はたしかに減りましたが、それ以上にハムショップは
減ってしまいました。もちろん無線機の売り上げも。

 

良く、巷では、「携帯電話の普及で無線への興味が薄れた」といった話が
流れています。
たしかにそれも一因でしょうけど、本当にそれだけでしょうか?
だって、電話代わりの連絡用だけが無線機の使われ方では無かったはずです。

さて、最近のJARLニュースを見て下さい。
広告料が高いけど購買層に直接届くこの雑誌!?、各メーカーが売れ筋を
PRしていますが、なぜか、モービル機がありません。

今、モービル機は本当に売れません。製造メーカーも減ってしまい、
モノバンドモービルをちゃんと出しているのは事実上アルインコだけです。
「車」そのものが減った訳でもないのに

いったいどうしちゃったのでしょうか。

さて、これを解くカギとして、私GRKは、第4級の20W化を原因の
ひとつに挙げられるのではないかと感じています。

本来は10Wモービル機を陳腐化させて新たな需要を喚起するという
メーカーサイドに立ったセコい目的のための20W化だったのですが、
結果は見事に空振りしたどころか、本来の需要までを減らしてしまったと
考えているのです。

まず、世の中にはパワーを気にする人、そんなに気にしない人が居るのは
ご存じの通りで、5Wハンディで運用している方は沢山いますから
ローカルラグチュー用、連絡用なら10Wでも我慢できるのは
間違いありません。

  これを踏まえての仮説です。

1)4級のV,UHFのリミットが20Wになった

2)しかし、パワーを気にする人はもともとオーバーパワーをしていたので
  20W機に見向きもしなかった

3)折からのバブルの崩壊もあって、下取り無しので購入がしずらくなった

4)そして、買い換え時に10WのFM機は下取りがめちゃくちゃ安くなった

5)不景気もあり、飛びもほとんど変わらないのでパワーを気にしない人は
  10Wのままにした

つまり、パワー派の人たちは合法出力が10Wが20Wになっても関係ないし、
非パワー派の人たちは10Wを売って20Wを買うという行動を
とりづらくなってしまったのです。

メーカーは在庫整理で10W機を安く売る羽目になり、
相場が下がってしまって市場には10Wの中古が出回らないし、
コストが掛かる割に(追伸参照)20Wも売れない.......

でも、アクティブなハムであれば、手元の10Wが古くなっているのは
気になるし、何か新しいものが欲しいのも間違いないところです。

そこで、HF〜430の20W機や、移動用の小型リグ(たとえばVX−1)の
ような、V,UHFの新しい運用を可能にするけど10Wモービル機と
直接ぶつからない、言い換えれば10WのFM機を下取りに出さないで買う様な
リグが売れているのではないでしょうか?

今、売れているV,UHFのリグは、10Wモービル機とは異なる運用を
想定しているリグばかりです。

 

                           JJ1GRK

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追伸:20Wって、パワーモジュールが少なくて作りにくいんですよね。
   でも、新品の10W機が投げ売りされているので、
   (在庫整理に数年掛かったようですね)メーカーは
   35W機並のコストの掛かる20W機を
   高く売ることもできなかったわけです
   HFの10Wも半端ですが(こちらは15〜20WがFB)

更に補足:じゃあ、どうすれば良かったかと言いますと、周知期間を長く取れば
     まだ傷は浅かったのです。
     20W改造可能な10W機と、改造不可能な10W機が併売されても
     その時点での免許が10Wまでなら、10W専用機はそこそこ売れたはずです