抵抗体の問題
今までのページは、多少おふざけ感も入れながら、イケイケ調で書いていますが、ここは真面目に。
1kW対応の水冷式ダミーロードを作ろうと、最近新たに部品を買ってきた時の話です。
最初に作ったのはこれ。
再現性を良くしようと、秋葉原で一番抵抗器が豊富な某店で抵抗体を購入しています。
ところが、水冷にすると高い周波数でSWRが妙に高いのです。
最初は構造上の問題、特に部品間距離の問題かと思い、
同じ抵抗器で、もう一つ作ってみました。
多少両行にはなりましたが、SWRの傾向は同じ。
もちろん、今までと同じ5Wの金属酸化物皮膜抵抗器です。
別冊トランジスタ技術 電子回路部品活用ハンドブックには、100Ω程度の抵抗器は
200MHz程度まで良好な特性を示している図が載っています。
水冷にすると共振周波数が下がるとともに、Qが上がった様な、
つまり共振がきつくなるような変化をするのですが、
(これが水冷の最大の欠点)
それでも元の特性が良いこれらの抵抗体では、HFで安心して使う事が出来ていました。
50MHz帯でも特性が少々悪い事を認識していれば大丈夫!。
これを水を入れたコップに入れるだけで200W!50MHzまでOKだったのです。
しかし・・・・。
今回購入した物は水に入れずにそのままで測定しても40MHz付近に自己共振点があります。
水で冷やすと、SWRの大幅な悪化を招いていたのでした。テキトーに作ると15MHz以上では使い物になりません。
何故?と良く見ると、今まで使っていた物とはいろいろと違いがあります。
低抵抗の部品の筈なのに、やけに溝が多い。
炭素皮膜抵抗のような造りです。L分が多そう。
もうひとつ、抵抗器の表面がざらざらしています。
接触面積は間違いなく増えています。
見ただけですからそれ以外の変化はわかりませんが、どう見ても同じ物ではありません。
水冷(油冷も)では、空冷に比べて必ず抵抗体の特性は劣化しますが、
元の特性が良いに越した事はありません。
部品の選択には充分注意してください。
プロの例の蒸発冷却ダミーで示したように、業務用の巨大な物も実用化されていますので、
水冷方式そのものに問題は無いのですが、
抵抗体の特性が悪い場合は、油冷よりも特性が悪化します。
上図のCQ誌2015年2月号掲載の水冷式ダミーは、この、最近の安価な抵抗器でもそれなりの特性が出る様に
構造を変えたものです。容器をガラスに変えています。
ただし、ハイパワーではかなりの発熱になります。この点には注意してください。
ガラスだと電波が漏れるような気がするかもしれません。でも配置に工夫をしてあるので、
測定端子に被ってデータをおかしくするほどではありません。
このような抵抗器を使用した場合のSWR特性なども同記事に載せています。
導通抵抗の問題では無いので、純水でもSWR特性は変わらないことも記述してあります。ご参照ください。
実は、こんなのも試作しました。一見、一つ上の物に似ていますが、
構造・部品が違っています。これの特性は良くありません。
部品の選択は大事! 選択できるうちに・・・ね(涙)